農家が宅配などを利用して通販をはじめる場合は、代金を回収する方法を決める必要があります。このとき、どのように回収をすればいいか迷うと思います。

「先払いがいいか、後払いがいいか」「きちんと代金を支払ってくれるだろうか」「忙しくて入金管理までしてられない」などたくさんの不安があるでしょう。

ただ、昔に比べて現在では、ネット通販や個人売買が普及しているので、代金回収の方法はたくさんあります。さらに手数料も安くなっていて、安心して気軽に利用することができます。

登録や審査が必要なこともあり、最初は面倒に感じるかもしれません。しかし、それは最初だけであり、慣れてくると楽だと感じるようになります。面倒なところは、なるべく効率化したほうがいいです。

それでは、代金の支払い方法の種類とその注意点について説明していきます。(2021年6月現在)

もくじ

通販をはじめるときの代金回収の種類

農家が通信販売をはじめて、お客様とやり取りするようになると、支払方法をどのようにするかを考える必要があります。直接対面で販売するのであれば、その場で現金のやり取りができます。しかし、通信販売やネット通販の場合は、直接現金のやり取りが出来ないため、どのようにしてお金を回収するのかを考えなければなりません。

そして、支払方法を何通りか作っておけば、お客様が支払方法を選ぶことができるので買い物がしやすくなります。

ネット販売をはじめるときは、「クレジット決済」「銀行振り込み」「郵便振替用紙払い」「代金引換」「コンビニ払い」などの支払い方法があります。

以下では、導入の仕方や活用方法について説明していきます。

クレジット決済

私の場合は、お客様の5~6割ほどは「クレジット決済」を利用しています。ただ、登録料がかかったり、販売手数料がかかったりします。「クレジット決済」では、主に決済代行サービスなどを登録して利用します。回収できないリスクはなく、購入時に決済が済むため利用者にとっても便利です。

以前は、個人事業でクレジット決済を導入するのは大変でした。導入に数万円かかったり、維持していくのにも1万円以上かかったりしたからです。

しかし現在では、ここまで費用をかけなくても気軽に利用することができるようになりました。さらに、登録料や月額料金が無料のところもあります。決済時に5%前後の手数料がかかるなど、代行会社によってプランはさまざまです。

お客様にとっても簡単で手数料がかからないため利用者は多いのです

「クレジット決済」は、購入時には支払いが済んでいるため、いちいち入金確認する必要がありません。銀行振り込みのように一人一人確認しなくてもまとめて決済が完了しているか確かめるだけで済みます。

ただ、実際に自分のところにすぐに入金される場合もあれば、翌月や翌々月など時間がかかる場合もあります。そのため、決済会社の内容をよく確認して下さい。

送料の変更がある場合や商品変更の場合など、後から購入金額を変更することができます。簡単に導入できるようにサービスがよくなっていますので、いろいろと自分にあったものを比較してみて下さい。

銀行振り込み

次に「銀行振り込み」の場合ですが、私の場合はお客様の2~3割ほどが利用しています。「銀行振り込み」の場合は、インターネット上で取引できる「インターネットバンキング」があります。これを活用すれば、銀行などに行って通帳に記帳する手間が省け、ネット上で入金を確認することができます。

銀行によっても「都市銀行」「地方銀行」「ゆうちょ銀行」などがあります。私の場合は、「ゆうちょ銀行」を利用しています。なぜなら、全国どこにでもある郵便局を利用する人が多いであろうと思ったからです。

また、実際の店舗を持たないインターネット専用の銀行もあります。例えば、「ペイペイ銀行」や「楽天銀行」などがあります。

これらの銀行では、実際に店舗がないため、インターネット上だけの取引になります。ただ、引き出したいときは、コンビニや郵便局を使うことができます。ネットバンキングでは、暗証番号が必要な場合や、不正されないように独自のルールがある場合があります。そのため、これらのIDやパスワード、仕組みを忘れないようにしましょう

「銀行振り込み」の場合は、きちんと入金されているかをこまめに確認する必要があります。また、振り込むタイミングも人によりまちまちなため、何度も確認して支払い済みか未払いかを確認する必要があります。

人によっては、振り込むのを忘れている場合があります。その場合は、催促の連絡をしなければいけません。すぐに入金されればいいですが、入金のタイミングが分からないため、クレジットや代金引換などと比べると少し面倒です。

場合によっては、支払いが遅い場合もあります。例えば、「1週間以内にお支い払下さい」と伝えているにも関わらず、支払がないため、何度もチェックしたり、メールや電話をしたりすることがあります。

一方で、支払が済んでいるにも関わらず、私のミスで支払いの催促をしてしまった経験もあります。このときは、購入者と支払い者が別名義だったため、気が付かなかったのです。これを防ぐため、注文者と振込み人の名義が異なるときは、あらかじめ伝えてもらうことが必要です。

このような大失敗をした経験もあるので、「銀行振り込み」の場合は、振込み済みか未払いかよく確認して下さい。

代金引換

その次に利用度が高いのが、「代金引換」です。決済の2割近くを占めています。「代金引換」は通常と違った伝票を使い「商品代金+送料+代引き手数料の合計金額」を記入します。

お客様が商品を引き取ると同時に支払いをするため、代金を必ず回収できるので安全です。

お客様の立場から考えてみても、「支払い後に商品が届くかどうか分からない」という不安がないため両者にとって確実で安全な方法です

「代金引換」の場合は、運送業者によっては別に登録が必要になることがあります。また、代引きには手数料がかかり、購入代金によってその金額はかわります。

「代金引換」は、宅配業者に任せることができるので安心です。ただ、お客様からすれば商品代以外に「代金引換手数料」がかかります。例えば、1人のお客様が贈答品などで複数の人に贈るとします。その中の自分宛の品に送り先すべての商品を代引きでまとめて支払うとします。その場合、購入金額が増えるので、手数料もそれに対して増えていきます。

ちなみに以下はヤマト運輸の代金引換手数料になります。

代金引換金額 代引き手数料
~9,999円 330円
10,000~29,999円 440円
30,000~99,999円 660円
100,000~300,000円 1,100円

(2021年6月現在)

また、お客様のところに発送する場合は使うことができますが、贈答など贈り物のみで自分のところに発送しないときは、使うことが出来ません。その場合は、注文者に代引き以外の支払い方法を進める必要があります。

このように贈答などがある場合は、間違っても送り先に請求してはいけません。

宅配便の伝票を作成するとき私の場合は、宅配伝票をまとめてプリンターに取り付けて、自動で印字できるようにしています。しかし、「代金引換」は別の用紙になるため、いちいち取り外すのが面倒になるので印字せず手書きで書いています。

また、「代金引換」は受け取り時に支払いを済ませますが、受け取り拒否の場合もあるようです。発送した後、お客様が「やっぱりいらない」といって商品を受け取らず、返品されるということです。私は一度もないのですが、特に10代や20代の若い世代に多く、パソコンからよりも携帯から注文する場合に多いようです。

さらに、受け取り拒否された場合、「商品が返ってくる際の送料の問題」があります。もちろん生鮮物の場合は、送る時間と返ってくる時間がかかり、発送時から日にちが経ち、鮮度が悪くなってしまいます。それだけでなく、送った際の送料と返ってくる際の送料と2回運賃がかかります。

運営側からみると商品を返された上、行きと帰りの送料どちらも無駄になってしまいます。この場合、行きの運賃は、運送会社と契約したときの運賃ですが、戻ってくる運賃は正規の運賃になってしまいます。

例えば450円で契約しているなら、行きの運賃は450円ですが、戻りの運賃は正規料金の650円となり、合計1100円の運賃を支払わなければいけません。めったにないことだとは思いますが、頭の片隅にいれておいて下さい。

郵便振替

次に「郵便振替用紙払い」ですが、これは郵便局で郵便振替用の口座を作ることによって利用できます。郵便振替口座を開設するには、以下の書類が必要になります。

・郵便振替加入申込書(郵便局窓口でもらいます)

・印章票(郵便局窓口でもらいます)

・印鑑

・本人確認書類(運転免許証、各種保険証、国民年金手帳、住民基本台帳カードなど)

相手のゆうちょ銀行の口座に送金することとは別になります。ちなみにゆうちょ銀行同士の送金は、「振込」ではなく「振替」といいます。

郵便振替用紙を送って入金してもらう方法です。よくカタログ通販などにあるこのようなものです。

郵便振替用紙(正確には払込取扱票)は2種類あり、文字がすべて青色で書かれた用紙は、手数料をお客様が負担します。一方で文字が赤色で書かれたものは、店舗側が手数料を負担します。ちなみに上の写真は青色なので、料金を支払うお客様が手数料を払うということです。

郵便振替の振替手数料は窓口とATMで異なり、次のようになっています。

【窓口扱い】

払込金額5万円未満 220円

払込金額5万円以上 440円

【ATM扱い】

払込金額5万円未満 125円

払込金額5万円以上 345円

郵便振替用紙は商品と一緒に梱包して送る場合が多いようです。また、贈答品の場合は、商品とは別の住所に請求書とともに贈る場合があります。後払いになることがあるので、私は何度か購入していたり、信用できる人の場合のみ使用しています。

昔からある支払方法なので、年配の方や郵便局に馴染みのあるお客様は郵便振替を指定してくることもあります。

【振込名義 口座番号の印字サービスがある】

振替用紙を使うにあたっては、毎回名前や口座番号を記入するのは面倒なので、郵便局で1枚1円で印字してくれます。

コンビニ後払い

最後にコンビニなどで後払いの支払いができる方法です。ネットなどで購入するお客様は、代金を支払った後に、商品が無事に届くか不安に思っています。そのため、このような後払い代行サービスがあるとお客様は安心できます。

私は使ったことがありませんが、後払い代行サービスを活用すれば、請求書の発行や、催促業務を代わりに行ってくれます。また、お客様のお支払い状況に関わらず、購入代金を立て替えてくれるため、未払いの心配がありません。

商品が到着後に郵送される請求書を使って、コンビニや銀行、郵便局などでお支払いができます。例えば、「後払い決済」を代行するサービスがあります。

支払いは「前払い」がいいか「後払い」がいいか

農家が通販をはじめるときは、代金の支払いが前払いがいいのか、後払いがいいのか迷うと思います。確実に代金を回収したければ、前払いがいいでしょう。ただ、お客様にとっては後払いのほうがいいと考える人もいます。「代金を支払って商品が届かなかったらどうしよう」と考えるからです。

ただ、私の場合は、基本的に前払いにしています。後払いだと代金を回収できない可能性があるからです。その場合は、何度もメールをしたり、電話をかけたりしなければいけません。ただ、ほとんどの場合は、忘れていることが多いです。

しかし中には、なかなか電話に出なかったり、電話に出ても払うといいながらすぐに支払わなかったりする場合があります。要するに相手がこちらの出方を見ているのです。そのようなことがあるので、「前払い」でお願いするのが確実といえます。

まとめ

農家が通販を開始すると、代金の決済方法を決めなければいけません。直接取引ならば、現金で確実に回収できますが、通販の場合は直接やり取りができません。

そのため、少し面倒にはなりますが、確実に入金を確認する必要があります。ただ、最近では代行サービスなどいろいろな決済方法が用意されており、個人でもスムーズに導入することができます。

これらをうまく活用し、作業を効率化しましょう。決済方法をいきなりたくさん用意するのではなく、出来るところからはじめて下さい。そして注文が増えてきてからいろいろな決済方法を試してみて下さい。

自分にあった方法を取り入れてスムーズに取引できるために、これらのことが参考になったら幸いです。