農家がウェブサイトを構築してインターネット販売をするには、多くの人に知ってもらえたり集客ができたりなど、自動で営業してくれるのでメリットが大きいです。
ただ、いきなり農家がネットを使って販売するといっても何から始めたらいいのか迷うと思います。一口にネットで販売するといっても、その方法はいろいろあります。
ネットを使ったサービスは年々変化しているので取り組みやすくなっています。ただ、ネットで販売できるサイトがあっても実際に集客し、販売まで繋げる事は難しいです。そこで、どのようにしてネット販売を開始すればいいのかについて、その流れや手順について確認していきます。
もくじ
ネット販売の種類とサービスの選び方
ネットを使って販売することを考えても、それぞれ特徴があります。
無料で取り組むことができるものから有料のものまであります。「無料だから売れない」「有料だから売れる」というわけではありません。
ここでは、その種類をみていきたいと思います。どの種類を選ぶのかによって、ネット販売の始め方が異なってきます。
ショッピングモールに出店する
ネット販売においては、集客することが必要です。集客することができなければ販売することはできません。その集客力が初めから用意されているといってもいいのが、ショッピングモールに出店する方法です。
この方法としては、楽天市場やヤフーショッピング、Amazonなどがあります。
ショッピングモールへ出店するメリットとして、個人で集客を考える必要がなく、圧倒的な知名度と集客力が最初から用意されていることがあります。デメリットとしては、出店料や手数料などかかる場合があります。
例えば楽天市場に出店しようと思った時、登録料が税別で60,000円かかります。プランによって異なりますが、税別で39,800~100,000円ほど月額利用料がかかります。システム利用料として売上の2.0~5.0%、他にもオプションサービスや決済サービスなどを利用すれば数パーセントの手数料がかかります。
価格競争に巻き込まれる可能性が高い
それだけでなく、同じ同業者がたくさんいる場合、価格競争になる場合があり安売り競争になる可能性もあります。例えば、楽天市場には多数の企業が存在しており、商品数もかなりの数になります。そのような中で自分の商品を販売しようと思えば、多数の商品の中から探してもらわなければなりません。
目立つようにするにはそれなりの費用がかかります。それ以外では、売るために価格を下げるなど、どちらにせよ薄利多売で利益を上げられる人に向いています。
思ったほど利益が出ないネットモールの出店
また、ビジネスで重要な顧客リストを持ち出せないというデメリットもあります。その結果、繰り返し購入してもらうことが難しくなり、常に新規の顧客を探すということになりかねません。
新規の顧客を獲得するには既存の顧客の何倍もの費用がかかるといわれています。顧客リストを持ち出せないということは実は致命的なことなのです。
その他、ショッピングモールにはいろんなルールがあります。例えば楽天市場では、購入価格の1~10%が付与される「通常ポイント」というものがあります。購入者からするとポイントがもらえ、お得感があります。
ただ、このポイントは、楽天市場が負担しているのではなく、出店者が負担しています。つまり、商品を出品するあなたが負担しなければいけません。
そのため、ショッピングモールでは集客を考えなくていいものの、売上はあっても月額利用料、販売手数料、集客するための手数料などを考えると、思ったほど手取りが少ないことが多いです。
ネットオークションで出店する
他の方法として、ネットオークションで農作物を売る方法が存在します。有名なのはヤフーオークションがあります。個人がネットで商売を始めるなら、もっとも手軽な方法がオークションです。私もはじめは、ヤフーオークションで販売を始めました。
私は梨農家ですが、5㎏の梨を100円という設定でスタートしました。「本当に100円だったらどうしよう」と心配になりましたが、スタート価格が安ければ訪問者も多く、入札もされやすいです。入札されればさらに人が集まり、値段が上がって結局2,000円近くまでいきました。
インターネットオークションのシステムで「自分の商品が売れる」ということに感動したことを覚えています。
ネット販売の方法を覚えるのならオークションが最適
落札後の連絡先のやり取りや商品の値段、送料のお知らせ、代金の支払いから商品の発送など一連の流れがつかめるため、初心者にとってネットオークションは取り組みやすいです。オークションサイトが集客をしてくれるため、「どのようにネットで売買するのか」といったことを覚えるのに適しています。
費用や手数料もそれほどかからないので収益は入りやすいです。インターネットオークションといっても人と人が取引するので、実際何度も購入してくれたり、家が近所ならば直接会って取引してくれたりするということもありました。
ただ、安売り競争になることや、思ったほど値段が上がらないということもあります。ネットオークションは他人の媒体を通して販売するため、流行を含めて人の行動が変化しやすいからです。
それでも、農家ならではの市場に出せない「訳あり品」など需要がある場合もあり、思わぬ値段で売れる事もあるのも事実です。市場などに出荷できない訳あり品が多くある場合、こうしたオークションサイトを活用すると利益増につなげることができます。
ASPでネットショップを作る
ASPというのは自分で用意したドメインなどで、買い物かごなど販売に必要な機能をレンタルしてネットショップを作成することを指します。
ゼロからサイトを作るよりも、すでにテンプレートがあるので比較的簡単に作ることができます。ただ、その分だけデザインの自由度が低くなります。
商品売買には仲介業者を通すこともないので、ショッピングモールのように販売手数料などはかかりません。もちろんその分自分で集客しなければなりません。
ASPでのネットショップでは、無料のものから月額料金のかかるものまであります。無料でネットショップが作れるものにはBASEというものがあります。初期費用や月額料金も完全0円でネットショップを作成することができます。
他に初期費用や月額料金はかかりますが、カラーミーショップというものがあります。私はこちらを利用しています。ASPサービスでは集客を自分でしなければいけないため、私の場合は他に独自ドメインの自分のサイトを作り、そこからネットショップへ誘導するようにしています。
自分でゼロからウェブサイトを作る
最後に、自分ですべてゼロからウェブサイトを作成して集客する方法があります。自ら作成するので、集客の方法に決まりはなく、自由度は一番高いです。
私はネットオークションから始めて、販売になれてきた頃から、次の段階としてゼロからサイトを作ることにしました。当時、いまのように良いサイト作成ツールが存在しなかったためホームページビルダーを使い作りました。
ウェブサイト作成は自由度が高いですが、すべてゼロから作らないといけないので時間がかかります。その代わり出店料や手数料はかからないので、集客ができれば安定して販売ができ、顧客のリストを集めていくことができます。
顧客リスト(一度でも商品を購入してくれた人)に対してメールやDMを送れば、リピートしてくれるので翌年の売上を出しやすくなります。そのため、年が経つごとに経営が安定します。
また、私が行っているように莫大なアクセスを集めて集客したり、マスメディアから取材を受けたりできるようになります。
誰でもやりやすくなったネット販売
現在では、農家がウェブサイトを自分で作成するための環境が整っています。市販のネットショップ作成ソフトを使えばもっと気軽に買い物かごボタンなどが作れるでしょう。
他にもワードプレスやHTMLで作成したサイトにPaypal(ショッピングカートボタン)を取り付けるなど方法があります。
ゼロからサイトを作るといっても、このようにさまざまな方法があります。どのやり方が自分にあっているのか試し、実際使ってみるのもいいでしょう。ネットショップを作ること自体はそれほど難しいことではありません。
農家が行うべきウェブ戦略
このように、インターネット販売にはさまざまな方法があります。この中で農家が取るべき戦略としては、「自分のウェブサイトを保有し、ここにネットショップの機能をくっつける」ことがあります。
ビジネスを行う以上、大手企業が行っているような薄利多売は向きません。ショッピングモールやネットオークションを活用してもいいですが、どうしても値段による勝負になってしまいます。
それよりも、自分独自のウェブサイトをもち、有益な情報を発信して集客することで付加価値の高い商品を売って利益を出すことを考えましょう。
時間はかかりますが、自分でしかできない完全なオリジナルなサイトを作ることで手数料なしに多くの利益を残せるようになります。確実に収益が出せる自分のウェブサイトを保有し、利益率を上げていきましょう。
そうしてお客様え直接販売する手法を身につけることが、お客様に喜ばれながら自らの収入を増やす方法だといえます。