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農薬の中には、「殺虫剤」「殺ダニ剤」「殺菌剤」があります。この中でも、虫やダニを退治するものは殺虫剤と殺ダニ剤になります。

殺虫剤と殺ダニ剤は、作用の仕方によっていくつかに分類されています。殺虫剤は、虫など害虫を目的に使用します。その一方で殺ダニ剤は、ダニ退治を目的として使います。

昆虫とダニは異なります。ダニは虫よりもクモに近く、分類上はクモ形網に所属しています。そのため、殺虫剤を散布してもダニには効果がないのです。

農薬の系統はいくつか分かれており、農薬の商品名で種類が分かれています。農薬の系統と農薬名は、同じ成分で違う商品名の場合もあり、分かりにくい場合もあります。

主な殺虫剤の系統と農薬名

農業で使用する殺虫剤には、系統の種類があります。そのため、普段使用している農薬がどの系統なのかを把握することが大切です。どのような系統かを把握していないと、同じ系統のものを立て続けに使ってしまう場合があるからです。

同じ系統のものを続けて使いすぎると、病害抵抗がつく可能性があります。

殺ダニ剤の抵抗性

例えばダニ剤は、ダニ剤に対する抵抗性が早いものでは3、4年で発見されるものもあります。そのため、同じダニ剤を何回も散布すると、ダニに対して効かなくなってくるのです。

同じダニ剤を何回も使うということは、大部分のダニはそのダニ剤で死にます。ただし、その中で生き残るダニが出てきて、そのダニ剤では効果がなくなってしまうのです。そのため、新しいダニ剤に頼ることになるのです。このため、どんどん新しいダニ剤が開発されています。

こうした抵抗性が発生することをなるべく遅くするためにも、同じダニ剤を年に1回以上使用しないようにすることが大切です。

この抵抗性のメカニズムは、医薬品の抗生物質に薬剤抵抗ができるのと似ています。

また、ダニは見つけたら、すぐに防除をした方がいいです。時間が経ってしまうと、どんどん増えてしまうからです。

このように増えてしまってからでは、大きな被害になりかねません。

また、天候などでも発生の状態は異なります。雨が降らず、晴れの日ばかり続いているとダニの発生が多くなります。

以前、収穫期の忙しいときに晴れの日が続いているときがありました。このとき収穫作業に時間を追われ、時間に余裕がなかったので、ダニのことをあまり意識せず過ごしていました。

その後も雨が降ることはなく晴天が続いていたため、収穫作業は続いていました。しかしある園地では、ダニが発生しているのに気が付かず増え続けている現状がありました。

そのため気づいた時には大発生していしまい、葉が落ちて今後の生育に影響を与えることになってしまいました。

そのように、雨が続き天候が続いたときは、特に注意して観察した方がいいのです。しかし、忙しさを理由に後回しにしてしまい気が付けば手遅れになっていたということがありました。

これらの経験から「日ごろから畑の状態に変化がないか観察する」「天候に状態を読みダニの発生状態を意識する。発生していれば迅速にダニ剤を使う」ということを学びました。

殺虫剤と殺ダニ剤における系統別の農薬の種類

殺虫剤や殺ダニ剤は、いくつかの系統があります。その中でも農薬の種類があります。ここでは、農薬の系統の分類と主な商品名、薬の効く作用をまとめました。

農薬系統 主な農薬 作用機構
カーバメート系 アドバンテージ、オリオン、オンコル、ガゼット、デナボン、バッサ、ラービン、ランネート アセチルコリンエステラーゼ阻害剤→神経作用

一部浸透移行がある

有機リン系 エルサン、オルトラン、カルホス、ジェイエース、ジメトエース、スプラサイド、スミチオン、スミフェート、ダーズバン、ダイアジノン、トクチオン、ネマキック、ネマトリン、マラソン、EPN
環状ジエン有機塩素系 ペンタック GABA作動性塩素イオンチャネルアンタゴニスト

→神経作用

フェニルピラゾール系

(フィピロール系)

ギャング、キラップ、プリンス
ピレスロイド系 MRジョーカー、アグロスリン、アディオン、サイハロン、スカウト、デルスター、トレボン、バイスロイド、フォース、ベニカ、マブリック、ロディー
ナトリウムチャネルモジュレーター
ナトリウムチャネルモジュレーター

→神経作用

浸透移行性がほとんどない

ネオ二コチノイド系 アクタラ、アドマイヤー、アルバリン、ガウチョ、クルーザー、スタークル、ダントツ、バリアード、ベストガード、ベニカ、モスピラン ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト

→神経作用

浸透移行性がある

スピノシン系

(マクロライド系)

カリブスター、スピネアタック、スピノエース、ディアナ ニコチン性アセチルコリン受容体アロステリックモジュレーター

→神経作用

アベルメクチン系

ミルベマイシン系

アグリメック、アニキ、アファームコロマイト、ショットワン  塩素イオンチャネルアクチベーター

→神経および筋肉作用

ピリプロキシフェン ブルート、ラノー 幼若ホルモン類似剤

→成長調節

ピメトロジン チェス 摂食阻害剤→神経作用
フロニカミド ウララ
クロフェンテジン カーラ、ニッソラン ダニ類成長阻害剤→成長調節
エトキサゾール スカイマイト、バロック、ダニメツ
BT剤 エコマスター、クオーク、サブリナジャックポット、ゼンターリ、

デルフィン、トアロー

微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤

→成長調節

ジアフェンチウロン ガンバ ミトコンドリアATP合成酵素阻害剤

→エネルギー代謝

有機スズ系殺ダニ剤 オサダン
プロパルギット オマイト
デトラジホン テデオン
クロルフェナピル

DNOCスルフラミド

 コテツ  酸化的リン酸化役剤
 ネライストキシン  エビセクト、パダン、ルーバン、リーフガード  ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー→神経作用
 ベンゾイル尿素系  アタブロン、カウンター、カスケード、マッチ  キチン生合成阻害剤タイプ0→成長調節
 ブプロフェジン  アプロード  キチン生合成阻害剤タイプ1→成長調節
シロマジン トリガード 脱皮阻害剤ハエ目昆虫

→成長調節

ジアシル ヒドラジン系 ガードワン、ファルコン、マトリック、ランナー、ロムダン 脱皮ホルモン受容体アゴニスト→成長調節
アミトラズ タイクーン、ダニカット ネクトパミン受容体アゴニスト

→神経作用

アセキノシル カネマイト 呼吸阻害→エネルギー代謝
フルアクリピリム タイタロン
METI剤 サンマイト、ダニトロン、ハチハチ、ピラニカ 呼吸阻害→エネルギー代謝
インドキサカルブ トルネード、風神、ライトニング 電位依存性ナトリウムチャネルブロッカー

→神経作用

メタフルミゾン アクセル
テトロン酸 テトラミン酸誘導体
エコマイト、クリアザール、ダニエモン、ダニゲッター、モベント
アセチルCoAカルボキ

シラーゼ阻害剤

→脂質合成、成長調節

 B‐ケトニトリル誘導体  スターマイト、ダニサラバ  呼吸阻害→エネルギー代謝
 ジアミド系  サムコル、フェニックス、フェルテラ、プレバソン、ペガサス、べネビア、プリロッソ  リアノジン受容体モジュレーター→神経および筋肉作用

殺虫剤や殺ダニ剤には系統があり、そこからいくつかの種類に分けられます。農薬によっては表示がされていない場合もあり、どのような系統か分からなくなるケースがあります。

農薬は使用基準が決まっているため、正しく使用することが大切です。そして、農薬の系統と商品名を知った上で適切に使用することが安全な方法だといえます。