会社勤めの煩わしい人間関係が耐えられない、早期に退職して田舎暮らしでも始めたいと考えている人は多いです。しかし、田舎の人間関係は都会以上に濃密であり狭い範囲であるため、一度失敗してしまうと逃げ場がありません。また地元ならではのローカルルールやしきたりがあります。

これらのルールに従わないと農業で生活するどころか村八分になり生きていくことが苦痛になってしまうこともあり得りえます。いたずらをされたり農作物を盗難されるかもしれません。変なうわさを村中に流されてしまうかもしれません。ただでさえ昔からの人間が多く新しい人が入ってこない地域では常に監視されていることが当たり前なので気を付けなければならないのです。

ここでは新規就農で人間関係に失敗しないために何に気を付けなければいけないのか考えていきましょう。

人間関係を自分で選ぶことができない

まず、農村では自分で人間関係を選ぶということができません。都会暮らしでいえば同じマンションでも話たこともないということが普通にあります。

都会では知らない人間に囲まれて暮らしているといえます。そのような環境では無理に気の合わない人と無理に付き合う必要がありません。自分と気の合う人とコミュニティを作り生活することができます。

しかし、農村では都会のようにはいきません。コミュニティが狭いので。人間関係を選ぶ選択の余地がないのです。また、固定化されているのでリセットして作りなおすということができません。

都会では仕事と家庭が明確に分かれており、距離にしても人間関係にしても交わることなく生活しやすいです。田舎では特に農業になると仕事と家庭の区別がつきにくく休みやプライベートも曖昧になりやすいので自ら意識しないと気持ちの切り替えが難しいという点もあります。

田舎は監視社会

都市部でこそ人の出入りがあり他人に無関心ではありますが、田舎のそれは違います。

知っている顔が多い田舎で、ましてや新顔の移住者はただでさえ目立ちます。一見それほど気にはならないであろう関係であっても表の顔と裏の顔は違います。

例えば何かで感謝され「ありがとう。助かったよ。」と言われても真に受けてはいけません。その場面が変わり別の場面になると「何考えてんだろ。あの人はありえない。」といいふらされることはざらです。別に田舎に限ったことではないですが表の顔と裏の顔は違いますのでそのまま受け止めることには注意が必要です。

特に退屈で日常に変化が乏しい田舎では人を見てないようでよく見ていますので言動や行動は心がけなくてはなりません

年上は敬うことが基本

これも別に田舎に限ったことではないですが、日本は年下には厳しく年上には敬語を使うことが常識な社会です。年功序列の日本の社会では、新入りの年下はパシリのようにこき使われ、年上は全くの無能であっても給料が高くなるのが当たり前です。

学生時代には部活で先輩後輩の関係があります。後輩は先輩の昼のパンやジュースを買ってくることは当たり前でありと生まれた年が違うというだけで死ぬまでこの上下関係は続きます。

日本ではあらゆることに対して年齢の意識が続き死ぬまでこの感覚は消えませんので特に年上に対しては敬意を表し、きちんと敬語を使って対応することが必要です。

日本で年上、年下という関係は細胞レベルにまで浸透していて洗脳にも近いレベルなので何度も言いますが自身の身のふるまいには細心の注意が必要なのです。

地域の寄り合いや飲み会は欠席してはいけない

こちらも田舎に限ったことではありませんが、人間関係を円滑にしていくには飲み会を欠席することはあり得ません。令和の時代では、以前に比べて飲み会を欠席しやすくなったりコロナウイルスの影響で飲み会そのものが自粛されている傾向にあります。このような時代にはあまり気乗りしないのに出席していたような人が堂々と欠席できるような時代になりつつあります。

しかしこのようなことは一般の社会であり、農家など田舎では通用しないこともあります。

そもそも田舎ではコロナがなかったり、人との接触自体も少ないため畑にしか行っていないから飲み会やっても大丈夫だろうということにもなりかねません。

さらには普段人と話す機会があまりなく飲むこと自体が人と話す機会になるため、不参加するという選択をしにくいということもあります。

人との距離が近く懐にぐいぐい入ってくる

現代では変わりつつありますが、農村では小学生でも知らない人にまで挨拶をするという文化がありました。今のような時代では不審者もいるため昔からに比べて変わってきてはいますが・・・。

そのような環境ではよく言えば面倒見がいい、悪く言えばおせっかいという人がいます。農業を新規でやり始めるということ自体も珍しいので、そういう人は好奇心の対象になります。

人によってはいろいろと質問してくる人がいます。「どっからきたの?」「今何してるの?」などなどプライベートなこともずかずかと入り込んでくる人も珍しくありません。

そういう場合は自分を守りながら答える範囲で答えていくといいと思います。ざっくばらんな雰囲気で人との距離が近いのが田舎の特徴なのでそういう雰囲気を壊すと後々面倒になることもあるためほどよく付き合っていくのがいいです。

わりと大げさなくらい演技するくらいがちょうどいいかもしれません。相手は演技しているということもおそらく気づかないでしょうから。

地域に同じ苗字が多い

基本的に田舎では都会と違い時間の流れが緩やかで人の移り変わりがない地域もあります。地元の人間が皆顔見知りで、人間関係が固定化されている地域です。このような地域の特徴としては、同じ苗字がやたら多いということがあります。

私の地域でもその地域内の区分によっても苗字が集中していることがあります。ひと昔前までは近所で結婚することが当たり前であり、親戚が近所中にあり皆同じ苗字ということが多いのです。

昭和の初期の日本は基本的に男尊女卑の社会ですので女性の考えは重視されない傾向にあり、選択の自由があるということも知らないことがありました。この時代では農民が大半なので農家に生まれ農家に嫁に行くということに特に疑問を感じることもなく当たり前のこととして成立していました。

そのため、近所の男衆たちが常日ごろから村の女たちを見定めていました。そのため村の女たちは小さいころから知っている近所の家に嫁にいくことに疑問を抱くはずもなく、集落では同じ苗字が多いことは当たり前の認識なのです。

祭りや夏場の草刈等地域の行事の参加は必須

農村ではその土地の地域の祭りや共同作業があります。そのほかにも自治体での行事があるためこれらのことにはよほどのことがない限り参加したほうがいいです。

申し訳ないけど予定があって参加できないんです。といってもきっと「大丈夫だよ」という返事が返ってくると思いますが、その後は参加しないことの文句でその時の話題になるはずです。

大した話題もない田舎ではこういうことが恰好の話題となります。できる限り参加しましょう

「誰かがやってくれる」「めんどくさいからやりたくない」という感覚では成り立ちません。むしろ自ら率先して参加していくという意識が必要です。

都会と違って誰かがやってくれているという感覚では人口が少ない田舎では成り立ちにくりです。自主的な行動が求められる場でもあります。

広いコミュニティと狭いコミュニティ

基本的に田舎は狭いコミュニティになります。いろいろな価値観の多様な人間が移り変わる環境とは真逆にあります。いつも同じ人間が固定化され人と違わないように波長を合わせていく環境になります。

例えば小学生など同じ地元で同じ人間と毎日顔を合わせてそれ以外の選択がないような感じです。田舎の農村で農業となると環境を変えにくくずっと同じような状態になります。

そうした環境で人間関係をこじらせてしまうとそこで生きていくのが大変になります。田舎は陰湿であり日本の特徴である同調圧力が強いのでより空気を読んで周りに合わせてなじんでいくことが大切になります。

このように田舎の人間関係は都会の人間関係より濃密でリセットしにくく環境を変えにくいです。都会でサラリーマンをして人間関係にうんざりして田舎でのんびりとというのは違うと思います。

田舎こそ誰であっても仲良くならなければならない濃密なコミュニケーションが求められます。農業であっても自分だけで好きなようにできるわけではありません。

その地域、その地域で独特のルールも存在します。郷に入れば郷に従えの精神でおかしいと思ったり面倒だと思っても合わせてそれなりにこなしていくことが田舎で新規就農者が人間関係でつまづかない大切なことだといえます。