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農家がネット販売を始めるとき、自分のウェブサイトを見つけてもらわないことには何も始まりません。ネット販売といっても、アクセスが集まらなければ売上はゼロです。

インターネット販売をするためにウェブサイトやブログを活用している農家は多いです。ただ、実際に集客し、販売することができずに途中で撤退する農家も多いです。

それでは、どのように考えて農家が情報発信して集客すればいいのでしょうか。これには、利用者にとってためになる情報を発信し、自分の存在を知ってもらうことが必要です。

誰のためのウェブサイトなのかを認識する

ブログは難しい知識が必要でなく、簡単に始められることができます。しかし、そこから集客し、販売までできている農家はどれだけいるのでしょうか。多くは自己満足の情報発信になってしまい、訪問する人も少なく、だんだんやる気がなくなってしまい放置状態になってしまうブログも多いです。

これは、消費者の目線に立ったブログにはなっていないことを意味しています。消費者からすると「直接新鮮な物がほしい」と考え、直接購入できる農家を探していることが多いです。ただ、農家が適切に情報発信しなければ、お客様はそうした農家にたどり着くことができません。

一生懸命ブログを更新しても、それが誰のためなのか、どんなキーワードで来てほしいのか明確になっていないのです。そのため、直接農家から野菜や果物を買いたいと考えている消費者に探してもらえていません

自己満足のブログになっていないか

実際のところ、ブログの内容が「農家の日常などの日記」を書く人が多いです。もちろんその人がどんな様子で作物を生産しているのかを伝えることは大事です。また、どんな考え方で作っているのかを伝えるのも必要でしょう。例えば以下のような内容です。

今日は収穫作業が終了したのでトラクターで畑を耕す作業をしました。このときは天気も晴れて気持ち良く作業が進みます。その後、苗の植え替えをしました。

土をもって畝(うね)をたて、ここに苗を植えていく予定です。

これからどんな風に育っていくのか楽しみです。

この内容ではある程度興味のある人や、リピーターにとっては効果的かもしれませんが、新規のお客さんを集めるための記事にはなりません。なぜなら、購入目的の消費者は検索エンジンで農業現場の作業のキーワードで打ち込むのではなく、購入するためのキーワードで検索するからです。

「農作業の日常」のような、赤の他人の日常を知りたいと思う人はほとんどいません。人は基本自分のことしか関心がなく、自分のことで精いっぱいだからです。他人が何を食べようとどこに行こうと全く関心がありません。そのような日常のブログで結果がでるのは芸能人くらいであり、普通の農家が日記のようなブログを作るのはあまり意味がないのです。

お客様が求めていることを記事にする

そこで、「お客さまにとって知りたい情報は何なのか」「お客さまがネット通販で野菜や果物をお取り寄せしたいと思ったとき、どのようなキーワードで検索するのか」などを考え、コンテンツとして作っていくことが大切になります。

例えば、ミカン農家であれば「品種名」「産地名」などのキーワードを組み合わせ、「農家から産地直送でお取り寄せができる」という切り口で情報発信をすると、ミカンを購入したい人に対してアプローチできます。

例えば以下のようになります。

【ミカンが健康維持に役立ち、美容にも良い理由】

当園では愛媛県宇和島市でミカンを専門に100年前から栽培しています。

愛媛県はみかんの他にもいよかんやポンカン、デコポンなど他の柑橘系を合わせた生産量は日本一となっています。みかんの他、多くの柑橘類を栽培しているため、かんきつ王国と呼ばれています。

愛媛みかんは10月~12月にかけて多く出回ります。ハウス栽培などを入れると10月~12月以外も食べることができます。それだけでなく、1月~5月にかけては、いよかん、ポンカン、デコポン、せとか、清美などが出荷され1年中愛媛のミカンを楽しむことができるのです。

こうしたミカンですが、実はミカンの皮にはすごく栄養があることを知っているでしょうか。

ミカンの皮には、咳を止める、のどの痛みを取り除く、胃炎や胃もたれを緩和してくれるなど漢方の効果があります。

当園でミカンを栽培している私も、お風呂の中にミカンの皮を入れています。冬至には柚子を入れるという習慣がありますが、ミカンの皮にも体を温める効果があります。疲労回復や、肩こり、腰痛、リウマチ、風邪予防などに期待できます。

また、ミカンに美容面にも最適だということを知っていましたか? 実はミカンのカロリーはとても低く、その代わりとしてビタミン、ミネラル、食物繊維など豊富に含まれているため、美容や健康には効果的です。

「果物を食べると太る」と誤解されている方もいるかと思います。日本では、果物は嗜好品という意識が強いです。ところが、欧米など先進国では果物は野菜などと同じで、栄養・健康のために食べられています。

ミカンには栄養に優れ、美容と健康によく、皮まで活用できるマルチな果物なのです。

こうしたことを含め、サイトに訪問すると「ミカンのことならなんでも書かれている」というのが理想です。ミカンの種類から、栄養分、歴史から、栽培方法などです。「ここのサイトにいけばミカンに関する知りたい情報がすべて分かる」という内容なら検索エンジンからも訪問者からも評価されるからです。

一方で、「農園日記」などの情報発信をしているブログやサイトではどうでしょうか。この場合、実際知っている人がたまに見に来るか、栽培の内容を検索してくる人が来る程度です。購入を目的に検索する人はあまりいないといえるでしょう。

検索エンジンのGoogleでは「利用者にとって価値のある、有益な情報を上位に表示させる」という方針があります。そこで、農家から新鮮な野菜や果物などをお取り寄せしたいと思っているお客さまが知りたい情報は何なのかを考える必要があります。

ウェブサイトが同業者の情報交換になってはいけない

他にも、検索する人の目的によってキーワードが異なってきます。

例えば、果樹を栽培していて、栽培日記に「摘果をした」「受粉をした」「消毒をした」「剪定をした」などの内容を書いても、消費者はそのようなキーワードに関心がないため、訪問されることはありません。

なぜなら、ネットで購入を目的に検索エンジンでキーワードを打ち込む人は、作業内容で検索しているわけではないからです。実際に果物を販売してくれる農家を探すためにキーワードを選ぶからです。

これらのキーワードでは、家庭果樹を楽しむ素人の方が、作業方法を知りたくて訪問してくるパターンが多いです。

農業の現場を伝える記事としてのキーワードとしては役に立つと思いますが、ネット通販で購入を目的に探しているお客さまの入り口にはならないのです。

そのようなキーワードや記事では、同業者や果樹栽培の初心者などが訪問してきます。同業者間での情報交換や栽培技術の向上には、これでもいいかもしれません。しかし、消費者に直接販売することが目的なら、これでは意味がありません。

ブログやサイトでの情報発信では、消費者が購入を目的として検索するキーワードや検索する人にとって価値のある内容でなければ意味がありません。これらの農園の日記を続けて更新していたとしてもYahoo!やGoogleの検索エンジンから、農家から直接購入しようと考えている消費者が新規で訪問してくる可能性は低いでしょう

どんな価値を提供できるか考えるべき理由

例えば野菜をネットで売りたいと考えているのなら、ただ野菜を売るだけでは単価を上げるのは難しいです。そこで複数の野菜をセットで売ることにより付加価値が付き価格に反映することができます。

ただ、野菜セットといっても、検索エンジンからなかなか見つけてもらうことは難しいです。そのため、その野菜セットで何ができるのか考えるべきです。具体的には、レシピを考えたりすることもひとつの方法です。

例えば、「お届けする野菜を使うことにより、こんなシチューができます」という感じで先に料理を決めてしまうということも可能です。これにより「単なる野菜」から「野菜を使った未来の姿」に情報として変えることができます。

他にも白菜など冬場の野菜を栽培しているなら「鍋セット」として販売すれば白菜だけを販売する場合より単価をあげることができます。このときはスープなどをオマケで加えると非常に喜ばれます。

原料を使った未来の姿を想像させる

要は、お客さまが知りたい情報をいかに提供できるのかが大切なことになります。例えば、毎日家庭で食事を作る主婦はその日の献立を考えることが大変です。家庭によっては、食事内容がいつも同じでマンネリ化しているかもしれません。

そのようなとき、栽培している作物のレシピや新しい使い方などを含め、役に立つ情報があれば重宝されるでしょう。また、農家しか知らない美味しい食べ方、保存方法、活用の仕方など考えればいろいろ出てくるでしょう。そうした、オリジナルな情報も価値があります。

他にも果物生産者の場合、ギフトで使われることが多いため、お中元やお歳暮などの需要に乗り、販路を拡大できます。

現代はネットで検索してから行動している

消費者からすると毎年、贈り物に何がいいだろうかと探しています。専門ショップに行ったり、百貨店で探したりするかもしれません。自宅でネット検索して探すかもしれません。

お客様は贈り物をするとき、「なんだか、タオルやお菓子類など贈り物はいつもありきたりだな。何かおもしろい物はないだろうか」とアンテナをはっているのです。

お客様が知人にギフトをして贈り物をしたいと思ったとき、多くの人はインターネットで情報を探すので、「お客様にとってどんなコンテンツが役に立つのか」など考えることが大切です。

例えば、贈り物に使う熨斗の種類にもいろいろあります。紅白蝶結び、紅白結び切り、黒白結び切り、黄白結び切りなどこれらの種類には意味も違ってきます。あまり知らない方にとってはこれらの情報も貴重になります。紅白結び切りは一度きりのお祝いに向いている熨斗なので結婚などに適していますが、何度繰り返してもいいお祝いの「紅白蝶結び」で送ってしまってはいけません。

このように想像を膨らませれば、お客様が欲している情報を提供できるようになります。それにより、作るコンテンツの幅が広がります。

行動してみると答えが分かってくる

そして、完璧を求めずに行動してみると、やるべきことが見えるようなってきます。やってみて失敗したら、改善していけばいいだけの話です。

私は梨を栽培していますが、実際販売をしてみると「季節の贈り物」としての需要が多いことが分かってきました。これは市場出荷しかしていなかったときでは、わからなかったことです。

市場出荷では、生産者(農家)は生産物を出荷する段階で仕事が終わりなので、その先にいる消費者が何を求めているのかまでは考えたこともなかったからです。

ただ、お客様へ直接販売していくうちに、贈り物にはラッピングをした方がいいなど毎年変化してきました。

梨の宅配便では、最初のころ箱に直接熨斗や伝票を貼り付けていたので、流通の段階ではがれてしまったことがあったからです。また、お客様から内熨斗としての要望があったこともあり、熨斗を箱に貼った上に包装紙をかぶせてラッピングし、その上に宅配伝票を貼ることによって贈り物として綺麗にみせることができるようになりました。

これらは、実際に行動していく中や、お客様から指摘を受けたことにより改善していったことです。

また、個人で送るだけでなく、法人などがいろいろな支店に贈ることもあるということも直接販売をやっていてわかってきました。

個人だと送る相手の数は限られていますが、法人になるとたくさんの支店に贈る場合もあり、1件あたりの注文の数が多くなります。

始めた頃は個人に販売するものだと思っていたことが、ギフトの需要があったり、イベントの商品として活用できたり想像以外のことがあります。

このように行動していくうちに新たな発見があります。サイトからの集客を考えるのなら、「自分で作っている農作物がお客様にどんな価値を提供できるのか」、「どんな有益な内容のコンテンツを作れば相手に探してもらえるのか」など考えるようにしましょう。

そうすれば、自分でしかできないオリジナルな価値を提供することができるようになります。そうしてお客様に対して直売できるようになり、安定した経営をすることができるようになります。