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お客様はあなたから物を買いたいと思っていません。あなたから買うことによってお客様が望んでいる未来が手に入ると思うからこそ、あなたから購入しようと考えるのです。物ではなく、その先の未来にお金を払っているのです。

例えば子供の学習塾にお金を払うのは、単なる勉強のために払うのではありません。いい高校、いい大学、いい就職先につかせたいために学習塾に入るのです。

他にも男性がキャバクラでお金を払うのは、単なるお酒のために払っているわけではありません。あわよくば、その先にあるかもしれないと未来に期待してお金を払うのです。

このように、お客様が望んでいる未来を手に入れられるなら喜んでお金を払っているのです

こうしたことを農家も考えなければいけません。特に米農家は米価格の下落や消費の低迷など厳しい状況が続いています。付加価値をつけ、お客様が望む未来を提供すれば利益の高い稲作経営を実現できます。

米を作っても飯を食えない米農家

農業の中でも、日本の主食である米の価格は年々厳しくなっています。消費者の米の消費量は現在60㎏程度であり、1970年の半分になっています。これは、現代人の食の多様化が進んでいることが原因です。豊な国になるにつれてパンやお肉を中心とした食生活に変化するのです。

こうしたライフスタイルの変化から、米の消費量が減り米の価格は下落を続けています。今までのように、ただ米を作っていたのでは米農家は飯が食えない時代になっているのです。

下がり続ける米の価格

米農家が農協などを通して販売した場合の価格は「仮渡し金」と呼ばれ、1俵(1俵=60㎏)で10,000~14,000円となっています。(※産地や年度、ブランド、品種などにより異なるのであくまで目安)

この仮渡し金は年々下がっています。このため大規模米農家などを除いては、サラリーマンと兼業していたり、赤字で米つくりをしていたりします。

60㎏で12,000円と仮定すると、1㎏では200円です。500gでは100円です。茶碗一杯でおよそ15円ほどです。

作れば作るほど赤字になる米農業

10a(300坪)あたり約8俵のお米の収穫があるとします。1俵60㎏で12,000円だとすると96,000円ほどになります。

価格が下がり続ける一方で、コンバイン、田植え機、トラクターなど農業機械のコストがかかります。これらの機械類だけでも新たにそろえるとなると数千万はかかります。

この場合、ある程度稲作経営に必要な設備、農業機械類はすでにあるとして減価償却済みと計算します。他にも苗2000円、農薬・除草剤で6000円、化成肥料6000円、育苗用土5000円、シート6000円、雑費6000円、燃料・電気5000円で簡単に考えても10aあたりで36,000円かかっています。

他にも、田んぼに水を入れるための費用、壊れやすい農業機械もあるため農機具の修理費などが必要です。

ざっと計算しても、米を10a(300坪)あたり作って売り上げから経費を引いた年間所得は60,000円ほどです。

これが現代の日本の米農家の現状です。現在ではまだ、自分がやれるだけ田んぼをやっていこうという思いで稲作を続けているかもしれません。「一通りの農業機械があるから米を作っている」というパターンもあります。ただ、実際は機械の購入や修理費用なども考えると、「100万円の収入を上げるために150万の経費をかけている」ようなおかしな状態もあるので、一部の大規模水田の経営者以外はいなくなっていくかもしれません。

どう考えても米つくりをしているよりも、時給800円でアルバイトにでも行った方が割がいいわけです。けれど米兼業農家は収入のためではなく、土地や先祖などお金以外のなにかを理由に米を作っているのです。

そんな状況でも米で飯を食っていく方法がある

例えば1俵60㎏を通常ルートの農協で販売すれば約12,000円になります。ただ、これを農協などのルートを通さずに直接販売すれば、5㎏で2,500円ほどで売れます。スーパーなどあっても、こうした値段で売られているため金額としてはだとうです。このとき、1俵60㎏に換算すると30,000円ほどです。

このように通常のルートに比べ、直売で庭向けで小売り販売することにより、2.5倍の価格になっていることがわかります。中間流通を通さず、自分で販売することにより、単純に2倍以上の利益が出せることになります。

12,000円の米を100,000円で売る方法

現代の日本の稲作農業では1俵(60㎏)あたり12,000円前後だといってきました。ところが、米の内容を変えることなく1俵(60㎏)あたり100,000円で販売する方法があります。「そんなことが本当に可能なのか? 」 と思うかもしれません。

ただ、実際は12,000円の米を100,000円で売ることは可能です。それは、売り方を工夫するのです。アイディア次第では、そのような値段で売ることを実現できるのです。

例えばある農家は米の重さを変え、子供の体重と同じ分の米を入れ、子供が誕生したときに、「誕生米」や「happy米」として付加価値をつけて販売しました。こうした利用の仕方は、お祝いのお返しとして使われます。

米を売っているのではなく、「お祝いの気持ち」を売っているため、値段が跳ね上がります。

また、ラッピングをしたり「子供の名前」や「子供の写真」などをいれたりすることにより、相手に喜ばれます。自分の子供の誕生を伝えるとき、重さ(生まれた時の体重)と写真で伝えることができ、より実感してもらえます。

同じように、結婚式や披露宴の時の後半に「花嫁からの両親への手紙」という場面があると思います。このとき、両親に向けて花束など渡す場面があります。それを自分の生まれたときの体重を入れたお米を「抱っこ米」「出生体重米」として、手紙と同時に今までお世話になった両親に渡します。

育ててきた娘への想いと感動の手紙とともに、娘が誕生した頃の遠い過去を「抱っこ米」を抱きながら、余韻に浸ることができます。

この場面、価格は全く関係なくなります。

お客様が得られる未来に価値を感じるなら価格は関係ない

出生時は3000ℊ前後が多いと思うので5,000円ほどの価格設定にします。高いと思うどころか、その米には嫁ぐ娘の生まれたころ思い出と成長した嬉しさ、離れていく寂しさ、などの付加価値が含まれているので価格を安く感じてもらいます。

要は、単なる米から思い出という付加価値がついているため、1俵(60㎏)12,000円の米が「誕生米」とすることにより3㎏で5000円(1俵100,000円)と8倍ほどの利益に変わるのです。

ここで大事なことは、実際に誕生米を作ることではありません。既に誰かが行った事例を真似したとしても、それには何の価値もありません。そうではなく、どうすればお客様に喜んでもらえるのかを考えましょう。お客様が望む未来に対して、自分にはどんな価値が提供できるかアイディアを出すのです。

多くの商品は、それ自体に価値があるから求められているわけではありません。その商品を利用することによって得られる魅力があるからこそ、多くの人はお金をだすわけです。農作物を売っている場合ではありません。農作物に付加価値をつけ、お客様に喜ばれる未来があってこそ商品が選ばれるのです。