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日本国内の農地では2005年の農地470万haのうち、38万haは耕作放棄地といわれています。

耕作放棄地とは、農業の高齢化や後継者不足によって農地を活用できず過去1年間全く耕作されたことがない土地のことをいいます。また、今後も再び耕作される予定がない農地のことを指します。耕作放棄地は年々増え続けています。耕作放棄地が増えることによってどうなるのか、何が問題なのか具体的にみていきます。

減り続ける農地

米や野菜などを作る耕地面積1961年の609万ヘクタールをピークに、以後は一貫して減り続け、2009年にはピーク時の7割強の460万9000ヘクタールにまで減っています。ただ耕地面積に対する作付面積の割合が高ければ、耕地面積の減少をカバーすることができます。しかし、実際は2008年度の耕地利用率は前年より0.4%低い92.2%でした。

これは農地がフルで活用されていないことを示しています。

主な原因は農業者の高齢化や後継者がいないことです。他にも条件の悪い土地であったり、機械が入れない土地であったりします。農地を活用して何か作る場合、条件のよい土地から作るのは当然であり、条件の悪い土地は後回しにされるからです。

耕作放棄地の問題点

農地であったところは、何も作らずほったらかしになります。すると当然ですが、雑草が生えてきます。例えば隣の農地では野菜を作っていたとすると、雑草などから害虫が増えて被害にあってしまうのです。自分のところでは正しく農薬を使っていたとしても隣が耕作していない土地ならば、そこから害虫がやってくるので農薬の効果がなくなってしまうのです。作付けしない農地に農薬をまく人はいないからです。

このように耕作しない土地は、自分の問題だけでなく、隣近所など周りの環境に影響してしまうため個人の問題だけではないのです。

他にも雑草が生えることにより景観が悪化することや、自然災害の拡大などがあります。例えば、田には盛り上がったあぜがあり、それが貯水池のような役割をはたしています。そのため、洪水など災害が起きたときに被害の拡大が少なくて済むなど、自然環境の中でも田や畑が維持されていることは大切な役割があるのです。

農地にしておくのには別の理由がある

日本では減反政策の補助金により、米価格が維持されているので、零細な兼業農家でも農業を続けている例はたくさんあります。しかも農地を宅地などに転用すると利益が転がり込むとの期待から、農業をしないで農地を手放さない「土地持だけを持っている農家でない人」も多いです。宅地以外にも、農地を道路やショッピングセンター、工場などに転用することを期待していのです

農地の固定資産税は低いため、土地をもっていて耕作するつもりのない人にとっては農地としておきたいと考えます。ただ、農地とひとことでいっても一般農地と市街化区域農地に分かれています。

一般農地と市街化農地では固定資産税の金額が異なってきます。

一般農地の固定資産税は10aあたり千円ほどです。一方で市街化区域農地では立地場所により種類があります。例えば一般市街化区域農地では固定資産税が数万円になります。三大都市圏の特定市の市街化区域農地では数十万円となります。

このように農地の固定資産税は低いとはいってもその農地のある場所により金額が変わってくるのです。

耕作放棄地はなぜ増えるのか

過去1年以上作物を栽培せず、今後数年間は栽培する意思のない耕地を耕作放棄地と呼んでいます。耕作放棄地となり作物を作らないのに土地をもっていると、夏場の高温多湿で雑草が生えるのでその管理にも手間がかかってしまいます。

土地持ち非農家は急増していますが、その背景には、農業をひっぱってきた人たちが高齢のために農業をリタイヤしている状況があります。耕作放棄地は増えているけれども、その受け皿がないのが拡大につながっている要因です。

日本は農産物の多くを海外からの輸入に頼っています。食料自給率の向上が日本の課題でもあり、そのためには農地の有効活用が必要です。それでも、農家の高齢化や後継者不足などさまざまな問題から耕作されない土地が増えているのが現状です。

このように日本の耕作放棄地の問題は「農業者の高齢化」「農業後継者の減少」「機械化が進んだ結果、条件の悪い農地を活用しない」「土地持ち非農家など土地の問題」など複雑になっています。他にも「雑草が生え害虫が発生する」「農地がもつ災害防止機能」「景観の悪化」など環境へ与える影響があります。

個人だけの問題でなく周りの地域を巻き込んでいるのが耕作放棄地の問題といえます。課題が多く残りますが、個人の問題と全体の問題の線引きが難しいのが現状です。