あらゆる物がインターネットで売買されるような現代の社会では、農産物もインターネット上でたくさん売買されています。

ただ、売上を上げられているようなところは、集客ができる仕組みがあったり情報量や販売システムが確立されていたりします。

ホームページ作成を外注していても、費用を回収することがなかなかできない農家は多いです。また、日常で食べられる野菜などを送料を払ってまで購入する人は少ないです。

このように厳しい部分もあるネット通販ですが、比較的販売しやすく、単価を上げやすい農業の種類があります。それが、果物生産農家です。

果物であれば、ギフトで使われることがあり、ギフトになれば単価を上げることができます

また、果物は熟し具合が難しく、未熟の物もあれば過熟のものもあります。目利きが必要になり、手間もかかっています。

そのため当たりはずれがあるのです。新鮮で適熟な物を届けるだけでリピートに繋がりやすくなります。このように果物ならではの有利なところがあるのです。

以下では果物栽培農家のどのような部分が有利販売に繋がるのか、詳しく解説していきます。

もくじ

果物農家(果樹栽培農家)はネット販売と相性がいい

このサイトを見ているあなたは、農業をしていて「インターネットで販売をしてみたい」と考えているのではないでしょうか。

または、「これから農業をして稼ぎたい」「農業とITを組み合わせて新しい農業の形を作りたい」と考えているのではないでしょうか。

農家がインターネットを活用して作物を売買することは、販売する仕組みも手軽になってきていて年々増えています。

農業といってもお米や野菜や果物や畜産などたくさんの種類に分類されています。そのような農業のなかでも、インターネット販売と相性がいいのが果物生産農家です。

多くの農家がインターネットで販売しようと取り組んでいますが、ネットショップを作成すれば簡単に販売できるのかといったら決してそうではありません。

インターネットで売上を上げているような農家は、検索の順位で上位に表示されるための「SEO対策」や美味しいそうな写真をとる技術、お客様とやりとりするためのショッピングシステムや売上を上げ続けるための顧客管理など地道に努力しているのです。

農業をしている農家が片手間で販売できるほど簡単ではありません。むしろじっくりと戦略をねって長期的に努力し続けることが必要になります。

ただ、そのような農家のなかでも比較的インターネットと相性がよく販売しやすいのが、「フルーツギフト」や「お取り寄せ」などで使うことができる、果物を生産している農家です。

果物生産は時間がかかり場所も限られる

果物を生産している農家は、収穫するまでに年単位の時間をかけて栽培しています。桃栗3年柿8年というように、苗木を植えてから収穫するまでに年単位の時間がかかるのです。

収穫するまでの時期は、無収入となります。そのため野菜栽培に比べてハードルが高く、新規の参入も少ないです。年に1回だけの収穫に加え、専門的な剪定技術などが必要なため、野菜栽培より難しいといわれています。

また、栽培環境に左右されることもあり、寒い地域と温かい地域では作られる果物も異なってきます。

このように一見栽培が難しく、ハードルが高いようにみえる果物栽培ですが、すでに果物を栽培していれば、マイナスではなくチャンスにもなるのです。

時間のかかる果樹栽培をチャンスに変える

このように果樹栽培は、収穫まで年単位の時間がかかり整枝剪定など専門的な技術が必要になります。また、1年に1回しか収穫ができません。

農業経営の中でも機械化が難しいことがあり、手作業が多いのも特徴です。例えばお米作りはトラクターや田植え機、コンバインなど農業機械を使うことが多いです。苗を植えるところから収穫まで農業機械で行うことができるのです。

一方で果樹栽培は、受粉や摘果(摘粒)、新梢管理、収穫、整枝剪定、などすべて手作業になります。米作りに比べると手間と時間がかかるのです。

このように、果物を栽培する農家は難しく、手間がかかるようにも見えます。しかし、インターネットを使った販売を考えたときは他の農業の種類の中でも有利に販売しやすい面があります。

以下では果物生産農家がネット販売に向く6つの理由を解説していきます。

果物販売はリピートされやすい

こだわりがあり、美味しい果物を生産している農家はたくさんいますが、大多数の果物生産農家は市場などに卸しています。産地直送で鮮度のいい物をネット通販で宅配する果物生産農家は、そう多くはないのです。

むしろ、「美味しいフルーツを探しているのになかなか見つけられない」と考えている消費者が驚くほど多いです。果物は収穫の目利きが難しく、物により当たりはずれがあります。

そして、贈り物として購入するお客様は贈答品にするのに失敗はしたくないと考えています。当たりはずれがある青果物は、お客様も失敗した経験があるためです。

私は梨を栽培していますが、私の経験から普通に適期に収穫して鮮度が良い状態で発送しているだけで、「今まで食べた中で一番おいしい」といって毎年リピートしてくれる人が多くいます。

それほど、通常流通する果物は当たりはずれが多いということでしょう。特に市場流通では、熟す前に収穫して店頭に並んでいます。

これは、流通の都合で仕方がないのですが、農家が完熟にして宅配する果物とは別物と考えることができるでしょう。

果物は季節感がある

果物は季節によって旬があります。春には、いちごやキウイフルーツ、かんきつ類があります。夏はさくらんぼやマンゴー、ブルーベリーや梅、すいか、メロン、イチジク、ビワ、スモモ、桃、パッションフルーツなどたくさんの旬の果物があります。

秋の果物は、梨やぶどう、柿、栗などがあります。冬になれば、温州みかんやりんご、いちご、かんきつ類などの旬を迎えます。

このように果物は季節物が多いため、その時期にしか食べられないフルーツギフトとしてお中元やお歳暮などにも使われます。

果物栽培はライバルが少ない

ネット販売をしている農家が少ないなかでも、さらに新規の参入も少ない果物栽培で、すでに果物を栽培しているあなたはライバルが圧倒的に少ないです。

収穫するまで年単位の時間がかかり、機械化しにくく手作業が多い特徴があります。専門的な技術が必要で効率が悪い部分もあります。

そのうえ、果樹棚など設備にも初期投資がかかり、野菜栽培に比べると圧倒的に新規で果樹栽培に取り組む人が少ないです。

それだけでなく、企業なども野菜栽培や葉物野菜等の植物工場に参入する場合はあっても果物栽培に参入することはまれです。

農家の中でもお米であれば、栽培している人も多く、日本全国各地で作られています。どこでも作られているお米で差別化し、ブランディングするより特定の産地や場所で作られている果物のほうが圧倒的に販売するのが楽です。

また、果物にはいろいろな品種があるので商品構成を作れるということもあります。

旬の短さを強みに変える

果物の旬というのは短く、季節が決まっています。夏に柑橘類はあまり出回りませんし、冬にすいかやメロンもあまり見かけません。

(正確には、すいかやメロン、いちごなどは野菜に分類されますが、ギフトに使えるという意味で果物に分類します)

年中栽培されている物であれば年間を通して販売が出来ます。果物の場合、多くは収穫時期が限られているため、その時期でしか販売できません。

短い期間しか販売できないとなれば、一見不利にも見えますが、農業は年間を通して管理すべきことが結構あるものです。

農作業をしながら販売もするのは、効率が悪く大変なことも多いです。一方で収穫時期が限られている果物は、販売期間も短いですが旬が認知されているためその時だけ販売に力を入れればいいことになります。

長い期間に少しずつ販売するより、短い期間に一気に販売するほうが、効率的で売上もいい場合があります。

旬のフルーツは単価を上げやすくギフトに向く

果物は季節物が多いため、フルーツギフトとして贈り物にも大変喜ばれています。特に自分自身へのお取り寄せやお世話になった方や身内、親せきなどへ宅配便を利用して送ることが多いです。

特に近年は、ネットを使って注文し、ギフトとして宅配便などで送ることが増えています。

初夏にはお中元として贈り物に使われています。お中元を過ぎても、残暑見舞いやお盆の贈り物などにも使われています。冬になればお歳暮として使われることもあります。

ギフトになれば大きく付加価値がつきます。フルーツ専門店や高級スーパ—などでは、びっくりするくらいの値段で販売しているようなこともあります。

実際にこのような店で、自分が栽培している物の生産者手取り価格と販売価格に10倍近く差があり驚いたことがあります。

私は商品をじっくりと見て、「私が生産している物と何が違うんだろう。そんなに大して変わらないな」と思ったことがあります。

もちろん、店頭に並べられているフルーツは、綺麗な紙でラッピングされていたり、フルーツキャップがかぶされていたり商品としてとても見栄えがよくなっています。

ギフト用では、化粧箱や木箱など高級そうな見栄えになっています。さすがに畑でコンテナに収穫してきただけの物とは違います。

このことから、普通に収穫しただけの農産物であっても化粧箱に入れたり、綺麗な和紙やフルーツキャップにかぶせたりするだけで大きく付加価値がつき値段が跳ね上がることが分かります。

また、ギフトとして人にあげる物なのであまり安くても問題があります。

例えば、普通に市場に100円で出荷している果物があるとします。1個1個市場に出荷していては100円づつにしかなりません。

ところが、これらを複数ギフトセットとして化粧箱で宅配できるようにします。傷がつかないように専用のパックに詰めたり、ラッピングをしたりします。

贈り物として喜ばれるように「収穫した農産物」から「フルーツギフト商品」にするのです。

例えばこれを6個入りで化粧箱に詰めます。価格は、ギフト価格として3,000円で販売します。箱代なども別にかかりますが、さきほどの1個100円の果物が5倍の500円で売れることになります。

このようにフルーツギフトにすれば、大きく付加価値がつき5倍の値段で販売できることになります。あなたが果物生産者なら、実際の手取り価格とフルーツギフトの価格の差がとても大きいことが分かるでしょう。

このようにギフトにするだけで同じ果物が大きく単価を上げることができるようになります。

だいこんやじゃがいもなど普段の食卓で使われるような日常の野菜などに比べると、いかに果物は付加価値をつけて単価を上げることが簡単か分かります。

観光もぎとり園や直売店ができる

他にも果物生産者ならではとしては、観光園や果樹園でのもぎとり園などがあります。もぎとり園などを行えば、収穫の手間をはぶくことができます。

直売店などを平行して行っている果樹園もあります。このような果樹園では、全国へ地方発送などを行っていることも多いです。

このような果樹園がインターネットを活用し、情報発信をすればリアルの場とネットの場を複合的に合わせて売上を伸ばしていくことも可能です。

まとめ

インターネットが普及し、たくさんの人がスマートフォンを持つようになった現代では、インターネットで買い物をする人がたくさんいます。

農家であってもインターネットを活用して販売する人はたくさんいます。ただ、ネットショップを立ち上げただけでは、当然ながら大きく売上を上げることは難しいです。

誰にも見てもらえなければ、当然ながら販売に繋げにくいからです。また日常で使われる野菜などを送料を払ってまで買いたいと思う人はまれです。

一方で果物の場合は、旬のギフトに使えて単価を大きく上げることができます。農家の産地直送であれば、鮮度もよく、いい物を届けることができるのでリピート率も高くなります。

ライバルも少なく、新規の参入が少ないのも果物栽培の強みです。

果樹栽培は機械化がしにくく、手作業も多く効率化が難しい部分もあります。しかし、考え方によっては少し工夫をするだけで大きく単価を上げることが可能になるのです。

これらのことが、果物栽培農家がネット販売と相性がいい理由です。