農業を仕事にしたいと考えた場合、大きく2つに分けると自営業として農業をする場合と、農業法人に就職する場合があります。農業法人とは、農業をしている会社組織のようなものです。そのため、農業をしながら毎月安定した給料をもらうことができます。

自営で農業をする場合は、毎月決まった給料が入ることはありません。一方、農業法人に就職すると、会社勤め感覚で農業をすることができます。

その場合は、当然ながら自営で農業をするのと違い、マニュアルがあったり、いろいろな決まりがあったりするでしょう。考えようによっては、給料をもらいながらノウハウを学んだり、将来独立して農業をしたりするときのステップにもなります。

それでは、自営で農業をする場合と、農業法人に就職する場合とではどのように違うのか、具体的に見ていきましょう。

変わりゆく農業のスタイル

近年では、個人農家の数は減り続けています。一方で農業法人などの法人としての形態は増えています。大手企業の参入や、異業種からの参入もあります。昔ながらの農家が減少する一方で組織的な農業は増えているのです。

農業法人は、2010年では1,696社であったものが2013年には3,169社になり、ほぼ倍増しています。

このように農業を営む形態も、時代とともに変化してきています。

農業を職業として選択して生きていく場合は、大きく分けて2つの方法があります。自営業として自分で農業を営んでいくスタイルと農業法人などに就職するスタイルです。

完全独立型の自営農業

1つは、完全独立型の就農です。実家が農家であれば、親の後を継ぐことができます。そうでない場合は、土地や建物、資金、栽培技術などを揃えていく必要があります。

そういった困難な面はありますが、もっとも自由度が高く独立志向の人には、向いている農業になるでしょう。誰にも指示されることなく自分でやりたいように仕事をすることができます。

上司、部下など煩わしい人間関係もなく、自分ですべてを考えるため実力勝負になります。人に指図されるより自分の考えで仕事をしたい人に向いています。ただその分だけ、すべての責任を自分で負う必要がり、孤独感を感じることがあります。

農業は土地の適正がある

自営業として独立して農業をする場合では、作る作物や販売先などを自分で決める必要があります。農業は、土地の質や気候などに依存します。

そのため、作る作物によっては、向く土地と向かない土地があります。果樹でいえば、りんごは青森や長野などが主な産地になっています。それ以外の場所では生産できないこともありませんが、産地としてこのような場所にまとまっているのです。

このように気温や土壌などにより、作る物が違ってきます。

農協や出荷組合、市場に出荷する方法

自営業型の農業をしている場合、販売方法はそれぞれ異なります。大きく分けて農協などに出荷(市場へ出荷)する方法と完全に自分で販路を開拓する方法です。

一般的な農業のスタイルでは、農協などへ販売を委託している農家が圧倒的に多いです。この方法では、最終的には、市場に流通していきます。自分で販路を考える必要はありません。産地によって違いますが、農協が取り扱う作物であれば買い取ってもらえます。

ただ、自分で価格を決められず、市場の相場に左右されるため、いくらで売れたのか分かりません。さらに自分で栽培した作物がどのように流通しているのか分かりません。そのため、消費者の声を聞くことができず、やりがいを感じられないことがあります。

自分で栽培した作物の付加価値をつけることが出来ないため、ただ生産量を増やすことだけが目的になりがちです。

自分で販路開拓していく農業

一方で自分が販売までする場合、自ら販路を考える必要があります。スーパーなどと直接契約する場合や農産物直売所、インターネットの直販などがこれらにあたります。

自営で農業をする場合、生産から販売まで行うのは、すべてを自分で行う必要があります。これらは、これまでの農家があまり意識していない分野です。マーケティングや販売を考えることにより今までにない農業をすることができます。

市場を通さない場合は、価格を自分で決めることができます。また、直接お客様に向けて販売できると、反応が返ってくるため、農業をしているやりがいを感じることができます。

特にインターネットを活用した販売は、まだまだ可能性が多くあり、やり方次第で大きく売上を変化させることができます。以前であれば、大きな会社を通したり、市場を通したりすることでしかお金は手に入りませんでした。また、売買も限られたものでした。

しかし、インターネットが発達した現在では、家にいながらにして誰にでも市場が開かれている状態になりました。既存の農家は、マーケットや販売、インターネットを使うことにあまり慣れていない方が大半です。農業にネットやマーケティングを組み合わせることにより大きな可能性があるのです。

農業法人に就職する

農業を職業として選択して生きていく2つ目の方法は、農業法人に就職することです。農業法人は、株式会社が農業をしているようなもので、雇用される形で気軽に農業を始めることができます。

会社勤めと同じ感覚で農業が出来るため、安定しており、完全独立型の自営農業と比べるとリスクが低いです。

「農業をしてみたい」と考えるのであれば、このような農業法人に就職するというのも一つの方法です。

独立型の就農に比べて自由度は低いですが、給料をもらいながらノウハウを学ぶことが出来ます。また、上司や同僚などがいたり、設備等があったりするため環境がそろっているのが大きな特徴です。普通の企業に就職することと変わらないため、気軽にしかもスムーズに行動できるでしょう。

農業法人とは

農業法人は、これまでの家族経営を中心として営む「家業」という概念とは異なり、会社として農業を営む「法人格」のことをいいます。

「農業法人」とありますが、「学校法人」「医療法人」「宗教法人」のように法的に定められたものではありません。

「農業法人」とは、農業を営む法人に対して任意で使用される呼び方です。就業規則が整備されているところとそうでないところがあるため、労働条件を事前に確認しましょう。

農家の形もそれぞれ違う

農業では、作る作物などによっても繁忙期と閑散期の違いがあるため、一般企業と同じ休日体制ではない場合もあります。そのため、就職や転職をする前に、「農繁期はいつになるのか」「まとまった休みはとれるのか」など、聞いておくことが大切です。

農業法人とひとことでいっても実態はさまざまです。家族経営とあまり変わらないようなところから、大規模に農業を営み、組栽培管理チーム、収穫チーム、出荷調整・営業チームといった形で従業員を組織化しているところまであります。

さらに、このような法人になると生産以外の事業をしている場合があります。農業といっても生産の他に食品を加工するなど、周辺ビジネスを盛んに行っているところもあります。

このように現在では、家族経営が主体の農家から法人経営の農業までさまざまです。例えば従来であれば、小さな面積で栽培する米農家がたくさんいました。お米作りは、機械化が進んでいるので作業時間がだいぶ少なくなっています。

そのため、兼業農家として他の仕事と掛け持ちで行っている人が多いです。ただ、お米を作るためには、田植え機やトラクター、コンバインや乾燥機など年間で稼働時間が短いわりに、たくさんの農業機械代や修理代がかかります。

そのため、高齢になっても「機械が壊れるまでは現役でお米を作る」という方も多いです。

離農が進む一方で進む大規模化

農家には、古くから作業受託というものがあります。あらゆる理由で仕事が出来なくなった農家から、田植えや稲刈りの作業を請け負う仕組みです。

そこで現在では、法人化してたくさんの土地を使ってお米作りをしている大規模なお米農家がたくさんいます。例えば、1法人が100ヘクタール以上お米を作っていて、かかるコストは通常のお米農家の半分にしているという例もあります。

農業法人の就職をどう選んだらいいのか

農業に就職といっても、まだまだ数が限られています。そこで農業に特化した「第一次産業ネット」などの求人サイトもありますので探してみてもいいでしょう。

農業法人では、その農家によって待遇もさまざまです。家族経営特有の決まりがない、いい加減なところもあれば、きちんと運営しているところもあります。就職先は慎重に選ぶことが必要です。

まとめ

近年農業を取り巻く環境は、大きな変化が起きています。農家の高齢化や後継者不足などにより小さな農家は減り続けています。

一方で規模を拡大し、一戸あたりの栽培面積が大きい農業法人などは増えています。そのような中、新規で独立型の就農をするのは、あらゆる条件からハードルが高いと考える人は多いです。

ただ、農業法人などが増えた結果、「農業に就職する」という選択をすることもできます。ただ、農業法人と一言でいっても法人によってさまざまであるため慎重に選ぶことが大切です。