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農薬にはたくさんの種類があります。「農薬を使うときの濃度」から「使う時期」などは、農薬によって細かく決められています。

農薬の種類はたくさんありますが、「どれを選べばいいか分かりにくい」と思ったことはないでしょうか。

ここでは、農薬のなかでも殺虫剤について詳しく見ていきます。

たくさんの種類がある農薬

新しい農薬は次々と出てきますが、害虫には抵抗性や耐性がついて、農家が使える農薬は限られています。薬の寿命をのばし、減農薬に役立つのが「系統の違う農薬のローテーション散布」です。

ところがなぜか、その系統が知りたくても製品には表示されていません。より具体的にいうと、内容が全く同じでも商品名が違ったり、少しの成分の違いで製品が変わったりしています。

例えば、同じ成分が入っていて、ほとんど同じ物でも成分量が50%と35%では全く違う製品になります。また、内容量が違ったり、倍率が違ったりします。

同じようなことは、肥料でもあります。売られている肥料には実にたくさんの種類があり、内容もさまざまです。野菜専用、果物専用、それぞれの作物専用という場合もあります。そのため、「なぜこんなにも種類が必要なのだろうか」と思います。

さらに、中身がそれほど変わらなくても、ラベルはどんどん変えています。

このように、農薬にしても肥料にしても、同じ製品でもメーカーによって農薬の名前が違ったり、肥料の成分の違いがそれほどなかったりなどしては分かりにくいと思います

殺虫剤が効く仕組み

殺虫剤には種類がいろいろあり、それぞれ効く仕組みも違います。そして農薬には、それぞれ「系統」があります。「系統」というのは、その仕組みごとをグループ分けしたものです。

系統が違う殺虫剤をローテーションすれば害虫に抵抗性がつきにくくなります。そのため、農薬を使う者としては選び方や時期などを考えます。

農薬によっては、「収穫の何日前までに使用する」など使う時期に決まりがあります。

殺虫剤の種類

殺虫剤は、口から入る「経口剤」と皮膚から入る「接触剤」の主に2種類があります。経口剤には、「作物に付着して一緒に食べれらるタイプ」と、「作物体内にいったん吸収されて樹液と一緒に害虫に吸われるタイプ(浸透性、浸透移行性)」があります。

その他に、「呼吸時に気門からすわれるタイプ」もあります。害虫の体内に入った殺虫剤が標的にするのは、「神経・筋肉」「呼吸」「皮膚」「成長ホルモン」「消化器官」の5つです。

そのうち一番種類が多いのが、「神経にダメージを与えるタイプ」です。

農薬のタイプ別分類

農薬と一言でいっても、「害虫に対してどのように効かせるのか」は農薬の種類によって異なります。殺虫剤は、以下のようなタイプに分類されます。

神経に効くタイプ

害虫の神経伝達を邪魔して殺すものです。比較的昔からあり、けいれんをおこして死ぬものや、ゆっくり麻痺して死ぬものなど種類が多いです。

有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオ二コチノイド系、ネライストキシン系、スピノシン系、ジアミド系があります。

皮膚の合成を邪魔するタイプ

昆虫は脱皮をくりかえして成長します。このタイプの薬剤は、害虫の皮膚であるキチン質の生成を妨げます。脱皮の際、新しい皮膚ができなければ、そこから体液がもれて、干からびて死にます。そのため、すでに脱皮を終えた害虫には効かないです。

IGRのベンゾイル尿素系、カスケードやマッチ、ブプロフェジン(アプロード)などがあります。

ホルモンを刺激するタイプ

昆虫の脱皮や変態には、ホルモンが大きく関わっています。このタイプの殺虫剤はホルモンのバランスを崩し、脱皮や産卵を抑制したり、逆に過剰に脱皮させたりします。昆虫特有のホルモンに効くので、哺乳類に対する安全性は高いです。

IGRのピリプロキシフェン、(プルート、ラノー)ジアシルーヒドラジン系(ファルコンやロムダン)があります。

呼吸を邪魔するタイプ

害虫の呼吸を阻害して窒息死させます。具体的には、殺ダニ剤が多く含まれます。

アセキノシル(カネマイト)やMETI剤(サンマイトやハチハチ)メタフルミゾン(アクセル)B-ケトニトリル誘導体(スターマイト、ダニサラバ)があります。

消化器官に効くBT剤

枯草菌の一種である「バチルスズブチリス」が作り出す毒素(結晶たんぱく質)を害虫が食べると、消化器官内でアルカリ性の消化液と反応して細胞を破壊します。害虫は麻痺して、エサが食べられなくなって死にます。胃液が酸性の哺乳類には効きません。

このように、農薬にはたくさんの種類があります。同じ製品で中身が全く同じでも製品名が異なることがあるので紛らわしいです。

そうしたことがあるので、現場でも「違う製品と思って使っていたけど実は中身は全く同じだった」ということがあり得ます。

そのため、「どのような成分がどれだけ含まれているのか」「どんな剤型(粉剤、乳剤、水和剤等)なのか」を知っておくことが大切です。