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作物は、適した土壌で育てることが大切です。土壌条件によっては、作物の出来が異なってくるからです。例えば、雨が多い日本の土壌は、酸性に傾きやすい傾向にあります。この場合、石灰資材でPhを調整します。

要は野菜や果物が好む土壌になるように、アルカリ分が含まれる石灰資材で土壌の㏗を調整するのです。

ここでは、石灰資材ではどんな種類があり、どんな使い方をすればいいのかについて解説していきます。

ほとんどの野菜は弱酸性から中性を好む

作物を作る場合、作物によって適正な㏗(土壌の酸度)にする必要があります。㏗値が5までは酸性、5.5~6は弱酸性、5.5~6.5は中性、6.0~7.0はアルカリ性になります。

ほとんどの野菜は、中性からアルカリ性を好みます。そのため、作物を作る前には、あらかじめ石灰資材をまいておきます。このとき、肥料や堆肥などと同時にまくと、化学反応を起こす場合もあります。そのため、1週間~2週間ほど間をあけることが好ましいです。

また石灰は、まいた後ですぐに固まってしまう性質があります。そのため、すぐに耕して土と混ぜることが大切です。なお、日本の土壌は雨が多いため、カルシウムが流され、酸性に傾きやすい性質があります。

そのようなとき、石灰資材を使いPHの調整をしますが、石灰資材の中でもいろいろと種類があります。

石灰資材にもアルカリ分が異なり、種類がある

以前、畜産の現場で鳥インフルエンザという感染症が確認されました。

鳥インフルエンザが起きたとき、大量に白い粉のようなものをまいている映像を見たことがある人もいるでしょう。あのときの白い粉は消石灰になります。消石灰は殺菌作用もあるため消毒目的で使用することもあります。

その他にも、石灰資材には苦土石灰や生石灰、有機石灰などの種類があります。ここからは、「それぞれの石灰資材ごとに何が違い、どのような使い方をすればいいのか」について見ていきます。

苦土石灰

酸性改良剤の中でも定番であり、私も使用しています。これは、石灰石の中でも炭酸マグネシウムが多い岩石「ドロマイト」を粉末にしたものになります。アルカリ成分は55~100%です。主成分の化学式は「CaCO3・MgCO3」であり、PHは9.7です。

苦土というのはマグネシウムであり、石灰はカルシウムのことです。そのため苦土石灰はマグネシウムとカルシウムの両方を含みます。すぐには溶けないので速効性はありませんが、根を傷めることもありません。そのため使いやすい石灰資材だと思います。

消石灰

生石灰に水を加えたものです。アルカリ成分は60~70%です。また、主成分の化学式は「Ca(OH)2」であり、PHは13.4です。学校の校庭などで、ライン引きに使われるものがこれです。

生石灰

石灰石を焼き、炭酸ガスを放出させたものです。アルカリ成分80~95%です。また主成分の化学式は「Cao」であり、PHは13.4です。

生石灰に水を入れると、すぐにグツグツと沸いて、発火するくらいの熱を出します。そのため、取扱いには注意が必要です。

有機石灰

牡蠣殻石灰やホタテの貝殻石灰などの種類があります。アルカリ成分は50%前後です。また、主成分の化学式は「CaCO3」です。他の石灰に比べゆっくり効くというイメージで土が柔らかくなるという効果もあります。

土壌改良材だけでない石灰の絶大な効果

石灰には、土壌のPHを調整するだけでなく、作物にとって効果的な作用があります。

実際、果樹栽培では元肥(種まきや生育前に施す肥料)の前に石灰を入れておき、土壌を適正な㏗にして、土壌を改良するの目的で使っていました。しかし私の経験上、石灰には土壌を酸性からアルカリ性にするだけでなく、カルシウムの補給や殺菌効果などもあると感じました。

実際のところ、石灰(カルシウム)には次のような効果があります。

1.病害抵抗性が高まる

現在では石灰そのものが耐病性を高めることが判明しました。これは、作物の体内で起こる石灰の生理的効果です。

石灰が効いていない作物では、病原菌が細胞の中に侵入したときに感染を阻止する力が弱いです。一方、石灰が効いているとファイトアレキシン(抗菌物質)などで菌を跳ね返します。

2.葉面、地表面PH上昇で静菌作用

石灰をまくと地表面のPHを高める効果がありますが、それには病原菌をすみにくくする作用があります。中性かアルカリにすることで有害菌の繁殖を抑え、有用微生物を増やします。

これによってカビ(糸状菌)の繁殖が抑えられ、細菌や放線菌が増えます。植物の病原菌には、細菌よりカビの方が圧倒的に多いからです。

放線菌が増えると病気が減ります。具体的には、キチナーゼという成分を出してフザリウムなどの糸状菌を抑えます。(トマト萎ちょう病菌、ウリ類つる割病菌、イチゴイオウ病菌など)。

3.細胞壁が強化される

「石灰は作物体を硬く丈夫にする」といわれています。石灰はペクチン酸と結びついて細胞壁の強度を高めます。

また、病原菌が出す細胞壁分解酵素の活性を協力に抑えます。このように石灰には、植物が軟弱ではなく固く、病気をよりつけなくするような効果があります。

石灰は土にあっても作物に十分吸われているとは限らない?

私は梨園を営んでいますが、毎年土壌の状態を知るために土壌を採取し、検査をしています。その結果、「石灰分はたくさんあるので、石灰はこれ以上入れなくてもいい」ということが分かりました。

そして、1年だけでなく何年も同じような結果が出たのです。そのため土壌診断結果を参考に、数年ほど石灰を少な目に投入するようにしました。

その結果、なぜか梨の木の状態があまり良くない状態でした。梨園では特に枝の先端が細く軟弱で、色もあまり良くないと感じていたのです。

しかし、その原因が「石灰にあるのか、別の理由でそうなっているのかどうか」は分かりませんでした。

その後も、土壌診断の結果では、「㏗は適正なので石灰資材はあまり入れなくてもいい」という結果でした。

しかし、「ここ数年石灰を入れている量が少ないし、診断結果より多めに投入してみよう」と思ったので、診断通りではなく、かなり多めに苦土石灰を投入したのです。

その結果、次の年には枝の質が良くなり、木の状態も良くなったことから収穫量が増えました。

このことから、たとえ「畑に十分石灰分がある」という土壌診断の結果があったとしても、それが作物に実際吸収されているかどうかは別の話ではないかと感じたものです。

また、「石灰が多すぎると土を固めたり、石灰過剰になったりしてPHが高すぎるのではないか」と心配する人もいます。しかし実際は、そのようなこともないようです。

作物により違いはあるかもしれませんが、それほど石灰資材を投入するわけではありません。そのため、思うほど土壌が固くなることはないと思います。

石灰の活用法ついては農文協から詳しく防除や有効な使い方が記載されている本がでています。そのため、興味のある方は参考にされてみてはいかがでしょうか。石灰を活用することにより、農薬を減らすことができるなど、いろいろな事例があるようです。

土壌を中和する目的で使うものに、石灰資材があります。石灰資材の中でも生石灰、消石灰、苦土石灰、有機石灰などの種類があります。

日本の土壌は、雨が多いため、酸性に傾きやすいです。そのため、石灰資材を活用することにより、適正な㏗にすることができます。

また、石灰には土壌改良の目的だけでなく、カルシウムの補給や殺菌効果があります。活用幅が広い石灰資材ですが、目的を明確にした上で活用していくことが大切です。