m030218

農業をする人口の平均年齢は66才を超えており、農業をする人の高齢化は進んでいます。農業の後継者不足や農業で稼ぐことが難しいのが理由ですが、それでも20代、30代で農業をしている人はいます。

平均年齢が60才を超える農業の現場で、なぜ若い世代が農業をしているのか具体的に見ていきます。そこから、どのように若い世代が農業経営を行えばいいのかについて確認していきます。

圧倒的少数派の若年層の農業者

2015年の農業従事者の平均年齢は66才になっています。2013年の主に農業に従事する基幹的農業従事者を見ると174万人となっていますが、そのうち60才以上は133万人です。農業をしている人では、65才以上が60%を超えています。65才以上60%を超えるということは通常の社会では年金受給者になるため、定年後に農業を始めた人も数多く存在します。

では、39歳以下はどれくらいいるのかというとおよそ8.6万人です。これはもう絶滅危惧種の天然記念物のようなものです。農業で若い世代は圧倒的に少数派です。20代、30代で農業をするということは、これだけ珍しいことなのです。年齢構成がかなりいびつなのが実態です。

20代で農業をするということ

私は北関東の農業がさかんな地域に生まれました。20代で就農(農業をはじめること)するとき、大変珍しがられました。20代で農業をする人は、農業が盛んな農村であっても少数派です。農村の田舎でも少ないので、20代であるというだけで目立つのです。

田舎で20代が農業をしているということは「若いのに百姓なんかしててたいしたものだ」といわれました。それだけ若い世代で農業をしているのは珍しいことです。

一般的に学校を卒業して就職するケースが多いですが、「若いのに会社勤めなんかして偉い」といわれることはありません。学生を卒業後に就職することは当たり前の出来事だからです。

若い世代で農業をしているということは、それくらい珍しく、いろいろな選択肢があった中で「なぜ、いまの時代百姓をやっているのだ」という意味も含まれています。

産地でも若手農業者より年配者が多いですが、その中でも若手農業者の情報交換の場があります。例えば4Hクラブというものがあります。これは後継者の集まりで、技術の向上や農業経営のプロジェクトを考えたりします。他にも青年部などがあり情報交換をしたり、研修・講習などを行ったりしています。

農業といっても地域により多種多様なので、その地域の特色がありそれぞれ異なります。

若者が農業後継者にならない理由

私の祖父の世代、戦前生まれの世代は長男は「農家の後を継ぐ」という考えでした。それ以外の道を選択するということは考えられない時代でした。ただ、戦前生まれの子供の世代、「団塊の世代」になると経済が発展してきて、仕事を求めて都会に出たり、外に働きにでたりして農業は継がなければならないものではなくなりました。

むしろ「きちんと勉強しろよ。勉強しないと、百姓しかなれないからな」と農村ではいわれていました。勉強しないと農業しかできないといわれていたのです。

農村など田舎には閉鎖的な環境や昔からの古い体質が残っています。私は農村独特の環境に違和感がずっとありました。自ら進んで農業を選びましたが、20代で農業をしていることが不自然というか、違和感を覚えるのです。「狭い世界に入ってしまった」と感じたものです。

農家を継ぐと家があり、仕事場があり、食事は3食ついてきます。家族経営なので給料をもらうというよりは、小遣いをもらうということのほうが正しいのです。仕事場が家ということは社会に出ているという自覚も少なく、ただ農作業をしているだけという日々が続きました。

周りの友達は企業に就職したり、ボーナスをもらったりすることが普通でした。私は農業をしながら、何か時代に取り残されてしまったように感じました。親に小遣いをもらいながら、社会性が育たず自立できない人生だと感じたのです。

私はこのなんともいえないもやもやとした感情で農業をしていました。この悔しさをバネに農園の仕事に打ち込んだり、ウェブサイトを作り情報発信したりしてきました。

農業には創意・工夫が必要で考え方や技術によって収穫量が大きく変わります。また、自分で作った作物をどう販売するか、どう付加価値を付けるかによって売上が大きく異なります。

いい作物ができると本当にうれしいし、直接販売することによってお客さんに感謝されることはやりがいにも繋がります。

私はどうせ農業をするなら、同年代のサラリーマンよりも大きく稼ごうと思っています。農業では自分の可能性やセンスを表現し、仕事に生かすことが可能だからです。

農家が恥ずかしいと思った少年期

子供のころは実家が農家というのはかっこ悪いと思っていました。なんだか、あか抜けないダサい感じがあるのです。私は関東に住んでいるの、で首都圏と同じテレビ局で都会のライフスタイルが移しだされると、より一層農村とのギャップを感じました。

このように農業の魅力をまったく感じないのは、田舎や農村独特の空気だったり、しがらみだったり、農業の国の政策そのものだったりします。

もちろんその内容は、土地によっても違うのかもしれません。昔からの人たちがずっと住んでいて外部からの人が流入しない地域と、田舎だけれど外からいろんな人が入ってくる地域とでは同じ田舎でも違ってきます。

よくいえば「絆」ですが、悪く言えば「しがらみ」になります

また農家は大変であり、休みがなく重労働だというイメージをもっている人も多いでしょう。いわゆる3K(きつい、きたない、かせげない)の仕事です。確かに農業の仕事は楽ではありません。

仕事をしていて汚れるのがわかっているので、綺麗な恰好では仕事をしません。私もまさか自分が農業をするとは思ってもみませんでした。

昔から家では祖父や祖母が農業をしていましたが、興味もなければ手伝ったこともなかったので農業のことを考えることもなかったのです。

昔、祖父の時代は確かに大変でした。重労働が多かったり、機械がなかったりして、そもそも休むという概念がなかったのです。

しかし、それは昔の話です。現在は、ある程度機械化がされていて楽になり、休みに関してはむしろ自分で自由に決めることができます。農家は仕事の仕方や時間の使い方を自分で決めるのです。

むしろ、「毎朝満員電車を我慢して通勤し、ストレスを抱えて仕事し、残業し、夜遅くに帰り時には休日出勤もある」というほうがよほど重労働だということがいえます。

都会から農村へ向かう若者が増えている

しかし、若い世代でも農業という生き方に魅力を感じ、田舎に移り住み農家でない人が新規で就農するというパターンも増えています。私のようにもともと田舎の農家に生まれ、農家の暮らしを肌で感じて生きてきた者とは違ったパターンの農業への就農です。

私の場合は、家や土地や果樹園、出荷先から栽培のノウハウ、農業設備や農業機械など一通りそろっているので初期投資はほとんどかかりません。しかし、新規で就農する場合は、土地の確保から設備全般など農業後継者とは比べられないほど多額の資金と土地の契約などの手続きが必要になってきます。

そして、自由きままに仕事を行えるのは本当であり、満員電車に毎日乗る必要もありませんが、農業での生活は決して楽ではありません。

私がテレビや雑誌などのメディアを見て感じるのは、「田舎暮らし」「スローライフ」「半農半X」とかいうのは誰かが作り出した良いイメージであり、現場で長年農業をやっている人や私からみれば違和感の塊です。

こうしたイメージは都会目線で作り出されたものであり、なんの変哲もない田舎ではしっくりこないからです。「ストレスフリーでのんびりと自分らしく生きられる」というのが全面に押し出されていますが、実際しがらみが多く、不便なこともあり、最初はよくても退屈に感じたり面倒に思ったりすることもあるはずです。

魅力のある農業経営とは

私は、「魅力のある農業はどういう農業か」と考えたときに一つの物差しになるのが、「儲かる農業」だと思っています。農業ができる環境にはいるが、農業をしない大きな理由は「農業が儲からない」からです。

「農業が儲からない」にはたくさんの理由があります。農業界特有の時代遅れの感覚や天候に影響されること、さらには流通の問題や価格の問題です。しかし、だからこそ農業を行うときの隙間にはチャンスも多くあります

実際に農業をやってみると生産することに創意工夫が必要であり、やり方はいろいろあり、どうにでも変えられます。魅力がないのは農業ではなく、農業をとりまく仕組みや外的な環境だといえます。

多くの人は、「農業は大変で儲からない」「労働時間も長いし、休みもない」と思っています。ただ、「安心・安全な野菜は食べたい」「新鮮な国産の農産物を食べたい」と思っています。

だからこそ、「何が求められて何を作ればいいか」「どうやって売ればいいのか」など考えることはもちろんですが、栽培のこと以外を学んで実践していけば、農業をして大きく稼げる可能性は無限にあります。

最終的には補助金頼みや何かにたよるのではなく、周りに影響されず、いかに自立した農業経営をするかが大事になってきます。またそういう物や人が求められる時代にもなってきます。

現代の日本の農業は60才を越えた高齢者が現役で働いており、その割合が高いです。そのなかでも40代以下の割合は10%を切っています。このいびつな年齢構成が農業者の特徴です。少ないながらも若手農業者で、これまでにない農業をしようと必死で試行錯誤している農業者は実際多いです。

劇的に変化する時代だからこそ、農業で生きるという選択をし、稼ぐ農業を実践している若手農業者も多いです。そのためには、現場の栽培技術からマニュアル化、マネージメント、マーケティング、販売などの経営全般にわたる感覚が必要です。

農業はなくてはならない産業であるものの、生産者が高齢化して農業人口は減り続けています。しかし、だからこそ若い農業者にはチャンスが多くあります。若い感性や農業以外の社会感覚などを農業に利用することによって、新しい農業経営の形を作ることができるのも農業の特徴です。